骨粗鬆症予防

骨粗鬆症の診断基準

骨粗鬆症とは、骨の強度が低下し、骨折しやすくなる病気です。骨は常に作られ、古い骨が壊されるという新陳代謝を繰り返していますが、骨粗鬆症では骨の破壊が骨の生成を上回り、骨がスカスカの状態になってしまいます。骨粗鬆症の診断は、主に、①骨密度測定、②脆弱性骨折の有無という２つの要素に基づいて行われます。

骨密度測定は、骨の強度を測る最も一般的な方法です。DEXA（デュアルエネルギーX線吸収測定法）と呼ばれる検査が用いられ、腰椎や大腿骨頸部などの部位の骨密度を測定します。測定結果は、Ｔスコアと呼ばれる値で示され、若年成人平均値と比較して何標準偏差下回っているかがわかります。一般的に、Ｔスコアが−2.5以下の場合、骨粗鬆症と診断されます。

脆弱性骨折とは、軽微な外力によって起こる骨折のことで、骨粗鬆症の典型的な症状です。背骨の圧迫骨折、大腿骨頸部骨折などが代表的な脆弱性骨折です。脆弱性骨折の有無も、骨粗鬆症の診断に重要な要素となります。

骨粗鬆症の診断基準は、骨密度測定の結果と脆弱性骨折の有無を総合的に判断して決定されます。例えば、骨密度がＴスコア−2.5以下であれば、脆弱性骨折の有無に関わらず骨粗鬆症と診断されます。また、骨密度がＴスコア−2.5より高くても、脆弱性骨折を経験している場合は、骨粗鬆症と診断されることがあります。問診や身体診察、そして画像検査の結果を総合的に判断して行われるものなのです。

骨粗鬆症は、自覚症状が乏しいことが多く、骨折をきっかけに初めて発覚することもあります。そのため、特に閉経後の女性や高齢者の方などは、定期的に骨密度測定を受けることが推奨されています。

骨密度低下の要因

骨密度の低下は、加齢や生活習慣など、様々な要因が複雑に絡み合って起こる現象です。

まず、加齢に伴う骨密度の低下は、女性ホルモンの減少が大きな要因の一つです。特に女性は閉経後、

女性ホルモンの分泌量が急激に減少し、骨吸収が促進されやすくなります。また、加齢に伴い、腸管でのカルシウム吸収率が低下したり、ビタミンＤの生成量が減ったりすることも、骨密度の低下を加速させます。

次に、生活習慣の影響も無視できません。喫煙は、骨形成を阻害し、骨吸収を促進する作用があるため、骨密度を低下させる大きなリスク因子です。また、過度な飲酒は、カルシウムの吸収を妨げ、骨の代謝を乱すため、骨密度に悪影響を与えます。さらに、運動不足は骨への負荷を減らし、骨形成を抑制するため、骨密度低下の一因となります。

その他、栄養状態も骨密度に大きく影響します。カルシウムやビタミンＤの摂取不足は、骨の形成に必要な栄養素が不足するため、骨密度が低下しやすくなります。また、タンパク質やマグネシウムなどのミネラル不足も、骨の健康維持には悪影響を及ぼします。

さらに、基礎疾患も骨密度の低下に関連している場合があります。例えば、甲状腺機能亢進症や副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患、ステロイド剤の長期服用などは、骨吸収を促進し、骨密度を低下させることがあります。

このように、骨密度の低下には、加齢、ホルモンバランス、生活習慣、栄養状態、基礎疾患など、様々な要因が関与しています。これらの要因が複合的に作用することで、骨がもろくなり、骨折のリスクが高まる骨粗しょう症へとつながる可能性があります。