脳トレ運動(認知症予防)について
脳の健康は「足」で守る。運動が認知機能にもたらす驚くべき効果
将来の健康を考えたとき、身体的な衰えと同じくらい、あるいはそれ以上に「認知機能の低下」を心配される方も多いのではないでしょうか。
認知症は、誰にとっても他人事ではありません。その予防として、パズルや計算などの「脳トレ」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は今、それ以上に重要視されているのが「運動」です。
「身体を動かすことが、なぜ脳に良いのか?」 そのメカニズムは、科学的にも次々と解明されています。
まず、運動は脳の「血流」を劇的に改善します。脳は非常に多くの酸素と栄養を必要とする臓器です。特に、記憶を司る「海馬」は、血流の低下に弱いとされています。運動によって全身の血流が良くなれば、脳の隅々にまで新鮮な酸素と栄養素が行き渡り、神経細胞が活性化します。
さらに、運動をすると筋肉から「マイオカイン」と呼ばれる様々な物質が分泌されます。このマイオカインの中には、脳の神経細胞を保護したり、新しく神経細胞が作られるのを助けたりする働きを持つもの(BDNF:脳由来神経栄養因子など)があることがわかっています。
つまり、運動は脳に「栄養」と「刺激」を同時に与える、最も効率的な脳トレなのです。
特に、下半身の筋肉は全身の筋肉の約7割を占めるため、「足を動かすこと」は脳を活性化させる最大のスイッチと言えます。
「考える」ことと「動く」ことは、別々のようでいて、実は深く結びついています。 いつまでもクリアな思考と豊かな記憶を保つために、身体、特に「足」を使った脳トレを始めてみませんか?

お勧めのトレーニングについて
「考えながら動く」。脳を活性化させるデュアルタスク・トレーニング
認知症予防や脳の活性化に効果的な運動は、ただやみくもに身体を動かせば良いというわけではありません。ポイントは「デュアルタスク(二重課題)」、つまり「運動」と「脳トレ」を同時に行うことです。
運動しながら別のことを考える(あるいは、考えながら運動する)ことで、脳はより広範囲に、そして強力に活性化します。
ご自宅で簡単にできる、おすすめのデュアルタスク・トレーニングをご紹介します。
1つ目は、「ステップ&しりとり」です。 その場でリズミカルに足踏みをします(有酸素運動)。この足踏みを続けながら、ご家族と「しりとり」をしてみてください。あるいは、「昨日食べたもの」を順番に思い出して口に出してみるのも良いでしょう。 「動き続ける」ことと「言葉を思い出す」ことを同時に行うのは、想像以上に脳を使います。
2つ目は、「計算ステップ」です。 「100から7を順番に引いていく(100、93、86…)」といった簡単な計算をしながら、ウォーキングや、その場での軽いスクワットを行います。 計算に集中すると足が止まってしまったり、足に集中すると計算が止まってしまったりしませんか? それこそが、脳に効いている証拠です。
こうした「コグニサイズ(Cognicise)」(Cognition=認知 と Exercise=運動 を合わせた造語)は、日常生活では使われない脳の領域を強力に刺激します。
大切なのは、難しすぎないこと。 「なんとかできるけれど、ちょっと頭を使う」くらいのレベルが最適です。
私たちパーソナルトレーナーは、お客様の体力レベルだけでなく、その日の集中力やコンディションも拝見しながら、最適な「脳トレ運動」をご提案します。楽しく会話し、頭を使いながら、いつの間にか身体も脳も健康になっている。そんな理想的な時間を、ぜひ体験しにいらしてください。